-レースは危険だなあ-
バトルマガジン2003年11月号より





 9月7〜8日、岡山県にあるTIサーキット英田で、スーパー耐久第6戦が開催されました☆8月は毎日涼しかったのに、9月に入ってからは毎日信じられない猛暑が続くよね。何もしていないのに汗が肌の上をじっとり流れる「不快指数150パーセント」の中、参戦のため、パートナードライバーである藤澤さんとマネージャーとの3人で、岡山に向け木曜日のうちに移動を開始!走行は金曜日からなんだけど、遠いので、いわゆる「前泊」ってやつです。地図で見ると、関東と岡山の距離はかなり離れているんだけど、羽田空港から飛行機で飛んじゃうとたったの一時間。自宅から富士スピードウエイまで3時間かかることを思うと、日本は広いようで狭いよね。
 
 今回は「湯の郷温泉」という、TIサーキットからクルマで30分くらいの温泉旅館に宿泊することになったんだ。予約はいつもマネージャーが行うんだけど、今回は温泉シーズンということもあり、どこの宿も予約でいっぱい。20件電話してやっと予約が取れた努力の成果とのことだったんだけど、値段は少々お高め。さてさてその実態は、表構えは「中規模な老舗旅館」だったけど、なんと中に入ると総畳なのだ!玄関以外フロアも、エレベーターの中まですべて畳。「今回はすごい宿だ〜!」と3人ではしゃぎながら、部屋に向けてGo!私はマネージャーに言われた部屋に向かうと、なんとそこはスイートルーム!!個室露天風呂もあり、TVに出てくるような豪華な部屋なのだ。「まるでリッチな旅行に来たみたい。岡山県にきたことは一生忘れないわ♪」と感動しきり。そして荷物を広げ、お風呂の準備をはじめたのだけど…。

 でもね、お風呂に行くとタオルとか浴衣とか、なんにもないわけ。「ちょっと〜、そんなの忘れるなんてがっかり」とつぶやきながらフロントに電話してみると、「申し訳ありません。すぐにお持ちします」とのこと。仕方がないので、お風呂に入るのを少し我慢することにした。しかし5分後、再び電話が鳴る。「お客様のお部屋は305ですよね?」「そうですよ(きっぱり)」「あの〜お客様が宿泊される部屋は306です」「え〜っ!すみません〜〜」あわてて荷物を片付け所定の部屋に向かうと、普通の部屋がそこには待っていてくれた(笑)

 部屋番号はマネージャーが間違えたんだけど、使われていない部屋は鍵が開けっ放しになっていて、それで発見が遅れてしまったのだ。マネージャーから受け取った鍵を見ると、確かにそれには「306号室」としっかり書かれている。1時間だけリッチな気分になり、儚い夢を見てしまった(笑)いつかあんな素敵な部屋に毎日宿泊できるようになりたい〜。
 
 ところで話をレースに戻さなきゃ。金曜日の占有走行では、全セッショントラブルが発生してしまい、全くといっていいほど、まともにクルマをセットアップすることが出来なかった。メカニックやドライバーにも、次第に焦りの色が見えはじめる。そして翌土曜日の予選でもトラブルは続き、タイムは上がらない。スーパー耐久にトラブルはつき物だけど、今回ばかりはやる事すべてが裏目に出てしまい、まったく前に進めない状態にハマってしまった。“一体何が原因なの!?”

 そんな矢先、ACDシステム(デフをコンピューター制御する装置)が壊れてしまった。ACDといえば、ランサーの最大のウリでもある電気制御のシステム。最悪の事態を向かえたかに思えたんだけど、実はなんとこのシステムが、昨日からずっとトラブルを引き起こす原因となっていた事が判明!!予選グリットは総合36位クラス11位と過去最低グリットとなってしまったけど、トラブルの原因さえつかめればもう大丈夫。決勝は抜いて抜いて抜きまくるしかない!気合い満々で決勝レースに臨んだ。
 
 ローリングスタートとともに、レースはスタート。4駆の強みを生かして、1コーナーまでに一気に3台ほど抜いた。いや〜スーパー耐久に参戦しているドライバーはすごい!3台並んでコーナーに飛び込んで立ち上がるんだから。私はというと8台位の固まりの中で走行していたんだけど、これがまた激しい。裏ストレートでは、タイヤがダートに落ちている私のクルマに対して、それでも激しくクルマを寄せてくるの!こっちも強気で「負けてられな〜い!」と引かない。そんな“このままじゃ当たっちゃうかも!?”と思うくらいの激しいバトルの中、それでも相手は紙一重のところでしっかりラインは残してくれるから、接触はしないんだよね。

 信じられない速度の中で繰り広げられる、「クリーンでレベルの高いバトル」。最高にレースを楽しむ事が出来た。今回は4位でゴールしたんだけど、ラスト2周というところで、なんとS2000が大炎上。ドライバー(友達なのだ)が怪我をしてしまって赤旗中断となり、そのまま終了となる、なんともやりきれないレースになってしまった。私はクリーンなバトルを楽しむ事が出来たけど、周囲ではクラッシュや接触が多かった。レースにクラッシュや怪我はつき物だけど、あらためて自分が“とても危険な職業に就いているんだ”という事を感じさせられた。

 クルマは1歩間違うと、大切な人の命さえも奪ってしまうもの。読者のみんなにも今一度、安全な走行について考えてほしいと切実に思う一戦だった。



 
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